『スロー・バード』 イアン・ワトスン

『十分に発達した科学技術は魔法と区別がつかない』とのクラークの名言がありますが、まさにそのようなアイデアをフル活用した短編が収録されています。

二つの国が敵の領土を寒冷化して不毛にする戦争を続けた末、ついには地球全体を氷の塊にしてしまった〝冷戦〟世界を描く『寒冷の女王』。

〝異星人の月(宇宙船?)〟の燃料(エントロピーの押し付け)として地球上であらゆる〝事件〟起きなくなり、活力が失われてしまった世界を描く『ジョーンの世界』など。

作中では一見魔法としか思えないような大事件が発生しますが、きっちり量子論などの科学理論によって説明をつけているところが上手いです。

方向性が全く逆な、説明無用のスラップスティックも愉しい。
夢の中で流れるCMの話『ぽんと開けよう、カロピー!』(カロピーは文章だけ読んでいても美味しそう)、遠泳大会がなぜか思想・宗教戦争の様相を帯びてくる『大西洋横断大遠泳』がお気に入り。

スロー・バード (ハヤカワ文庫SF)
スロー・バード (ハヤカワ文庫SF)

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