カテゴリー別アーカイブ: 幻想・ホラー

『カポーティ短編集』 トルーマン・カポーティ/河野一郎編訳

人に『好きな小説家は?』と聞かれたら、たいていカポーティの名前を挙げます。『ティファニーで朝食を』が映画化されてて有名なので、小説をよく知らない人とでもなんとか話のネタにできたりしますし。
本当はジェイムズ・ティプトリー・ジュニアとかコードウェイナー・スミスが好きです、と答えたいところなのですが、アレな世界の作家なので話のネタにならないですしねえ。

カポーティといえば『ティファニーで朝食を』も心のバイブルではあるんですが、幻想的な短編、例えば『ミリアム』や『夜の樹』などがより好みだったりします。

この短編集で一番良かったのは猫に関係した不思議な話『窓辺の灯』。ラストの光景を恐い・異常と見るか、幻想的と見るかで、かなり読後感が変わってきます。
カポーティ短篇集 (ちくま文庫)
カポーティ短篇集 (ちくま文庫)

『未来少女アリス』 ジェフ・ヌーン

うーん、これは原文で読むべき本なのかも。『不思議の国のアリス』の続編パロディなのですが、オリジナルと同じく英語の言葉遊びがかなりあるっぽい……。訳者の風間氏は原文のニュアンスを伝えようとかなりがんばっているのですが、やっぱり微妙な韻やダジャレを日本語にするのは難しいですね。
内容ですが、前半はまさにアリスそのもの、後半はいかにもジェフ・ヌーンな感じになってました(ベースは『鏡の国のアリス』?)。ヘビ女警官と自動人形アリスがピストルで撃ち合うラストシーンとか、なんともシュールな展開が『ああ、やっぱりヌーンだ』と思ってしまいます。

この作品、全然雰囲気が違いますが、私の中で最高のファンタジー『ヴァート』三部作の外伝という位置づけになっているみたいです。イギリスのマンチェスターが舞台だったり、動物人間がたくさんいて普通の人間が希少種になってたり、ヴァート麻薬の最初の発見者・ホバート博士の名前がでてきたり、『ヴァート』と共通する設定・単語が結構出てきます。『未来少女アリス』の舞台が1998年なのに対して、『ヴァート』が(科学技術レベルから考えて)21世紀後半から22世紀くらいの近未来を舞台としているようなので、『アリス』は『ヴァート』以前の話と考えられそうです。

警察がヘビ人間に統括されているところは『ヴァート』作中の警察ネットワークがヘビの魔物に支配されていることに繋がってくるような気がしますし、動物人間をつくりだす(人間と動物を混血する)キャリオン素粒子は、『花粉戦争』で語られる凶悪な不妊治療剤・大豊穣薬十号のプロトタイプなのかもしれません。でも、色々矛盾もあるので、実際は時間軸の繋がった話ではないのかも。
とりあえず、ネコミミ好きとしてはネコ娘が登場するのが嬉しいですね。今までのヴァートは基本的にイヌミミ(しかも一匹狼的な犬のおまわりさんとか)が活躍する作品だったので。
……まあ、バラバラ死体としてしか登場しませんが。

<プラチナ・ファンタジイ> 未来少女アリス (ハヤカワ文庫 FT)
<プラチナ・ファンタジイ> 未来少女アリス (ハヤカワ文庫 FT)