『サンマイ崩れ』 吉岡暁

表題作はものすごくオーソドックスな怪談でした。
ホラーはなんだかんだいって典型的な怪談が一番怖かったりするんですが、本作は私の琴線に触れるにはもう一歩足りない感じ。
最後の、正体がばれるシーンがもっと不気味な描写になっていれば……。
 「人界から隔絶されている」「助けを求めても誰も助けに来てくれない」感じが今ひとつ足りないのです。
小説よりも、BGM無しのブレアウィッチ的な映像作品でやったらもっと怖くなるかもしれませんね。

もう一つの中篇『ウスサマ明王』は『ひぐらし』+『バイオハザード』といった感じですが、先行作品の焼き直しというわけではなく、なかなか面白いエンターテインメントに仕上がっています。
いかにも古風かつ呪術的な妖怪を、過剰な軍事兵器で制圧しようとするプロットが面白いですし、戦闘描写も緊迫感があって非常に良い感じです。

なんとなく『ひぐらし』っぽいガジェットが多いような気がしますが、偶然なのかな、かな?
・戦闘をしているのは一部の政治家によって私的に創設された陸自の特殊部隊。
・ヒナの攻撃法の基本がブービートラップで、なんとなく沙都子ちっく。
・学校を手製の爆弾(盗んだ灯油缶で誘爆する仕掛け)で爆破する描写。
・災厄のきっかけは、村に伝わる伝説。オヤシロさまならぬ〝お豊さま〟 

(2008/09/23)

サンマイ崩れ (角川ホラー文庫)
サンマイ崩れ (角川ホラー文庫)

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