『隠し部屋を査察して』  エリック・マコーマック

地球規模の大地震の後、幅100m、深さ30mの謎の溝が出現し、通り道にあるものを全て消滅させながら時速1600kmの猛スピードで全世界を駆け巡っていくという大災害を描いた『刈り跡』をはじめ、奇想溢れる作品が収録された短編集。

短編『町の長い一日』に『わたしは外に出ると、くるぶしまで積もった蝶をかきわけて……』という表現があるので南米出身の作家なのかなと思っていたらスコットランド系の人でした。
ジャングルの呪術とか大量の虫とか新大陸とか奔放なセックスの風習だとか、南米っぽい印象を強く感じてしまったのですが……。

それはそれとして、表題作『隠し部屋を査察して』をはじめ、『窓辺のエックハート』『祭り』『町の長い一日』といった作品で〝もはや最終目的が何だったかも分からなくなっているのに、何らかの義務的行為を課せられている人〟が多く描写されているのが印象に残りました。

●隠し部屋に永遠に監禁されている囚人を、永遠に監視することを課せられた監視人。
●犬が疲労死するまで果てしなく犬に棒を投げ続ける機械。
●他人を演じるという祭り行事をやっているうちに、本当の自分に戻ることができなくなった人。
●ある家に死体があるという報告を受けながらその家の場所が分からず、さらに第一発見者が死んでしまい、発見者が見た死体とはなんだったのかという謎を解き続ける刑事。
●一人の子供に対する児童虐待が無関係の人まで巻き込む暗殺戦争にまで発展した家族。
●主義にとらわれない究極の詩を追い求めた末に、無政府主義テロリストの人間爆弾になってしまった詩人。
(2007/12/01)

隠し部屋を査察して (創元推理文庫)
隠し部屋を査察して (創元推理文庫)

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