『図書室のドラゴン』 マイクル・カンデル

エンデの『果てしない物語』(『ネバーエンディング・ストーリー』の方が通りが良いかも)を、とことんダークサイドへパロディにした作品、といえばいいでしょうか。

魔法の図書室(マクガルヴィー・ランド)に転移する方法を見つけたシャーマン少年。その図書室に本を持ち込むと、例のごとく、本の世界に入り込み登場人物になることができるわけです。

現実世界では根暗でイマイチぱっとしないシャーマンも、本の世界ではドラゴンと戦う騎士になったり、超能力者となって合衆国の平和を脅かす悪鬼と闘ったり、はたまた遠い銀河の植民星で活躍する司令官になったりと、普段抑圧されている自らの欲望を発散させます。

と、ここまでは『果てしない物語』のバスチアン少年と同じなのですが、本作のシャーマンは欲望にまかせて、魔法の図書室に『情欲の仔猫たち』というエロ小説を持ち込んでしまいます。
この行為がきっかけとなって、他の本の世界にもエロチックな猫女「時間魔女」が出現するようになり、彼女たちの暗躍?により、あらゆる物語世界が酷いバッドエンドへと収束していきます。

シャーマンはこの危機をどう乗り越えるのか?

単純に、様々なファンタジーの類型のパロディとして見てもかなり面白い作品ですが(中世ではなく、わざと現代都市を舞台にしているドラゴンスレイヤーの話は皮肉が効いていて大好き)、『果てしない物語』とはまた別の形で、空想世界から現実に戻ることを選択する少年の姿が示されていて印象深いです。

(2007/09/16)

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