『ねじとねじ回し この千年で最高の発明をめぐる物語』 ヴィトルト・リプチンスキ

著者が「この千年で最高の発明」と主張する、ねじとねじ回しに関する科学史エッセイです。

ねじって何気なく使っていて、組み合わせた物体同士を留めたり分解するのに便利、くらいにしか思っていなかったんですが。構造といい用途といい、重要性でいうと似たような用途で使われる釘やリベットとは格段の差があったんですね。
ねじの「物を留める」以外のもう一つの用途、「ねじの回し具合で可変部品の角度や位置を調整する」という機能が、精密機械工業に無くてはならない要素だというのは、目から鱗でした。工作機械ってやっぱり凄いなあ。

ねじ以外のエピソードにも興味深いものが沢山ありました。
たとえば「降ってわいた発明」とされる服のボタン。ボタンとボタン穴という単純な物を、13世紀になるまで人類の誰も思いつかなかったというのは驚きです。確かに「ボタンを留める操作」を、口や文章で説明するのがかなり難しいことを考えると、ボタンの概念すら存在しない世界で、ボタンを発想するのはとてつもない閃きが必要だったんでしょう。

こう考えると「ものすごく簡単に作れるのだけれど、誰も発想することができないから存在しない物」というのは私たちの世界に結構ありそうです ( 「存在しない物」が在るというのも変な表現ですが ) 。

SF的に考えると、別の平行世界ではそういった物が普通に使われていて、こちらの世界の暮らしとは全然違う様相になっていたりするんでしょうね。
そういうSF小説とかあったら面白いのかもしれませんが、「誰も発想することができない物」を描けるわけがないので、そんな物語は永久に描かれることはないという……。

ねじとねじ回し この千年で最高の発明をめぐる物語 (ハヤカワ文庫NF)
ねじとねじ回し この千年で最高の発明をめぐる物語 (ハヤカワ文庫NF)

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